日々の残像V〜北鎌倉篇〜

大森元気 web log vol.5 - since nov.2016

いつも東京を歌っていた

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photo by hideology(※集合写真とスタジオ自撮り以外全て)

いつから音楽を再開するか?

少し遡ります。音楽のこと。11月の引越し後、片付けや修繕やDIY的なこと、荒れた庭の整備など、年が明けるまで(まあ今もなんですが)バタバタは続いていて、じっくり腰をすえて音楽を作るにはもう少し時間がかかるなあと、そう思っていたところでした。といっても楽しいこと・大変なこと含めて毎日に夢中で、音楽が出来ないことに対してそこまでストレスがなかったのは、意外でもあり、それはそれでどうなの?というところではありましたが...。


そんなときに北山さんから連絡が。“マーキン”こと北山昌樹氏はシンガーソングライターであり、数々のバンドに参加するドラマーでもあります。そしてよくお世話になっている渋谷の喫茶SMiLEのブッキングマネージャーでもあります。12月、彼の参加している“青野りえ&hums”の企画ライブがあり、それに出ないかとのお誘いでした。

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昨年は音楽への向き合い方をちょっと変えて、デビューして15~6年続けてきたような、がむしゃらにライブをやりまくるというペースをあえて落として、その代わりやるときにはお金も時間もかけて、きちんと濃いものをやってみよう、そんなふうに思った一年でした。

それで限られた本数でライブをするにあたり、弾き語りにあまり興味(意味?)を持てなくなっていきました。感動してくれる人や褒めてくださる人は毎回たくさんいるのですが、集客にも繋がらないし、自分の表現時代音楽の中に、リズム隊のグルーヴや楽器やコーラスのアンサンブルという要素が大きいと思えて。

そんなこんなで、12月のライブのお話しをもらったときにも、もしタイミングが違ったり、知らない人だったりしたら辞退していた気がします。けどなんとなく軽い気持ちで1人ふらっと歌いに行くのもいいなと思えたので、お受けすることにしました。小さなライブバーだったし、大好きな昼ライブというのも大きかったのだと思います。

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何を歌うべきか、何を歌いたいか

というわけでライブの日が迫ってきたわけですが...。ふらっと遊びにいくようにと思っていたものの、俄然選曲に悩みました。

少し前に書きましたが、北鎌倉に移り、聴く音楽が変わりました。そういうものを反映した新曲を書きたいと思うのだけれど、アウトプットではなくインプットの時期のようでどうにも形にならない。それならカバーも2~3曲入れてやってみようかななんて思いました。ただ、それ以外の自分の曲をピックアップしていくうちに、今までの東京モードの曲もやはり歌いたい、歌っておきたいという気持ちが強く湧き上がりました。

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その原因といったら大げさだけど、ライブに向けて久しぶりに下北沢に行き、スタジオに入ってエレキギターを鳴らした。そしたら、山住まいの気分が嘘のように、昔みたいに心が燃えだしたのです。東京にいた頃の歌を歌いたい気分にモードが変わっていました。

当日までの間あーでもないこーでもないと、本当に何度も何度もセットリストを考え直しました。最終的に決めたのがライブ当日でしたが、弾き語りならではの、曲にちなんだMC多めのライブは「大森君の部屋にいるような、それかラジオを聴いているようないいステージだった」とお褒めの言葉を頂きました。悩んでよかった。結局カバーは無しにし、冬にちなんだかなりレアな曲もいくつか演奏しました。


セットリスト
1.センチメンタルの頃
2.日なたにて
3.下北沢
4.拝啓君は元気ですか
5.冬空エレジー
6.Smile
7.冬の舗道

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いつも東京を歌っている

「田舎の生活はどうですか?風の匂いを思います」という歌詞から始まる「拝啓、君は元気ですか?」という曲は、先日の記事にも書きましたが(動画もあり)、東京を去る仲間たちに向けて書く手紙のような歌。見送っていた自分のほうが東京を離れてこれを歌う日が来たんだなあ...と感慨深いものがありました。

それから、東京を出てから初めて歌う「下北沢」や、東京の夕映えの色を歌った「冬空エレジー」、真冬のイルミネーションの中での別れ話を描いた「Smile」、そのほかももう本当全曲なんだけれども、歌詞のあちこちに東京の風景が見え隠れして、あぁやっぱり自分は東京の街をいつも歌っていたのだなぁと実感しました。

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こうして東京での暮らしのなかでたくさんの東京の歌を書いた。

引越して、また新しく作りたいものがぼんやり見えてきて、それは恐らく東京の歌ではないのだけど、愛すべき東京時代の歌はずっと歌っていくのだと思います。だって大好きだもの、今もずっと。

3年半未完になっているアルバムも、新しいものを先につくるのか、後につくるのか、同時進行なのかちょっと分からないけども、気持ち的にもやっぱり東京の頃の足跡としてきちんと形にしておきたいなという気持ちはあります。

それでやっと引越しが終わる気もしていて。いつになるやら、壮大な話なんだけど。

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