日々の残像V〜北鎌倉篇〜

大森元気 web log vol.5 - since nov.2016

最終回(後編)〜北鎌倉に来て良かったこと・大変だったこと

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最終回の続きです。後編はおまけ的な意味合いもこめて、以前どなたかが書いていたスタイルをまねまして、2年半北鎌倉に住んでみて、よかったことと大変だったことをまとめてみようかなと。


◆鎌倉に住んでよかったこと
●寺社・史跡が身近にある

お寺や神社、切通しやその他史跡があちこちにあります。ご朱印帳がすぐいっぱいになってしまいました。歴史などを調べるのも楽しいです。鎌倉検定なんていう資格試験も鎌倉にはあるんです。

通勤経路には、このブログでもよく登場した小さなお稲荷さん「山中稲荷」があり、通勤中の人々の多くが足をとめてお辞儀をしていきます。僕も日々の安全や無病を願ったり感謝したり。娘が生まれるときは安産祈願を毎日欠かしませんでした。また、徒歩圏内にある「葛原岡神社」や鎌倉の入口「大船観音」にはよく行きました。

信仰の考え方は人それぞれだと思いますし、僕は特定の宗教を信仰しているわけではないのですが、心に幾分か余裕が生まれたように思えます。

●町並みに風情がある
史跡に限らず、町並に風情があるのも本当に好きでした。細い路地、生垣や竹垣、谷戸と呼ばれる谷あいの地形、隧道ややぐら(←横穴のこと)、削られた岩肌、季節ごとに色の変わる里山。本当に大好きな町です。この街を離れてもたびたび訪れることでしょう。

●アクセスは意外とよい
逗子もしくは久里浜から出ている横須賀線は、乗り換え無しで横浜や品川や東京に行けます。また2001年繋がった湘南新宿ラインが来れば渋谷・新宿やなんと宇都宮へも1本。僕の場合はですが、杉並にいた頃と通勤時間はほぼ変わらず。時間帯によっては座って通勤できる日もありました。

●ゆったりとした時間の流れ
鎌倉に限らないのかも知れませんが都会に比べて時間の流れがゆるやかに思えました。心がゆったりしましたね。

以前住んでいた町ではコンビニや駅まで徒歩2分、電車の本数も多く、渋谷・新宿・吉祥寺まで10~15分というところにいました。勿論それが特別すぎたのですが、北鎌倉に来てからは駅やコンビニまで行くのに山を下りなければならないし、スーパーに行くには電車に乗らなければならないし...ということで最初は慣れませんでした。

同じ環境でも車や電動自転車があれば快適でしょうが、僕らはひたすら徒歩だったのでそんなふうに1つ1つのことに時間がかかるということを身体になじませて、少し先を見越して買い物をするとか、必要でなければその日は諦めるとか、快適ではなく不便であることが普通にしていくようにしました。

都会を除けば本来こんなことは当たり前ですが、そのことに気づけたのもよかったです。

●町と山の良いとこ取り
僕にとっては最初は「鎌倉」という町自体に憧れを持っていましたが、住み始めると「山暮らし」ということのほうが大きな魅力になっていきました。ボロボロながらも庭付きの平屋ということも大きかったです。

季節ごとに(春などは週替わりとか日替わりで)生える草が変わり、咲く花が変わり、匂いが変わり、それについていくので忙しいくらいです。

朝起きれば目の前に山があり、鳥の声が常に聞こえ、風が木々を揺らす音が遠くからやって来るのが分かり、鳥や動物の気配があり。夏にはホタルが飛び。庭でも変わるがわるいろいろな植物が自然に生えてきました。日当たりは微妙でしたが家庭菜園も楽しかったです。

あと好きだったのは風呂の窓をあけて入浴することでした。風を感じ、木の葉の匂いがしました。まるで露天風呂気分になれます。まれに明るいうちに入浴することがあるとそれはもう最高でした。

このような山暮らしは本来交通の不便なところまで行かないとできないことが多いと思うのですが、鎌倉という観光の街の隣駅で、しかもすぐに横浜や東京に出られる距離でそれができたというのは、まさに良いとこ取りとしか言いようがなく、大きな魅力でした。



●海と山の良いとこ取り
北鎌倉は山なので海はありませんでしたが、源氏山のハイキングコースを探索すればすぐに海のある長谷に抜けることができます。上記にて町と山の良いとこ取りと言いましたが、山と海の両方を楽しめるのも鎌倉の魅力です。

後日追記
●近所づきあいと人柄
あとご近所づきあいも(運の良し悪しはあると思いますが)僕らは恵まれていました。古い都市、憧れの観光地ということで入居前はどんなもんかなと思っていたような記憶があるのですが、お隣さん、並びのお宅の方々とよく挨拶や短い会話もさせてもらえて、心が和みました。

また、以前から知っていた鎌倉の友人や、よく伺うお店の人たちも暖かく迎えてくれて、交流することができました。お高くとまっているという意味ではなく、排他的という意味でもなく、みんな鎌倉が好きで暮らしていて楽しんで生活していることが伝わって来ます。サーファーの人たちや元ヤン的な文化、あとは高級住宅地のエリアとか...僕はあまり接点を持たなかった文化も多分あるのだと思いますが、僕のまわりの人たちはみんなよくしてくれて、あったかかったなあと思います。

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◆大変だったこと
●スーパーがない、コンビニが少ない
北鎌倉にはスーパーがありません。八百屋さんが1つありますが夜はしまってしまいます。

コンビニについては、「ローソン・スリーエフ」が駅1分のところにあり、こちらには野菜類も売っているので重宝しました。かつては駅出口すぐにもう1つローソン、浄智寺のほうにファミリーマートがありましたが、いずれも閉店してしまいました。ファミマは駐車場やイートインもありつぶれると思っていなかったので衝撃でした。少し大船よりのところにヤマザキショップがありますが、24時間のコンビニはスリーエフのみになってしまいましたね。

鎌倉の中でも駅により事情は異なりますが、北鎌倉の買い物事情はこんな感じです。日々の食料品などの買い物は、鎌倉か大船(ともに1駅)でするか、僕の場合は会社の近くで済ませてレジ袋さげて帰ってきていました。あとはネットスーパーを利用していました。

●湿気とカビ
これはよく知られた話ですが、鎌倉に住むのに苦労することはこれです。海からの風もあるのでしょうし、山の湿気も尋常ではなく、大変です。

除湿機を24時間稼動(今考えるとそのせいでずっとうるさかったですね...)下駄箱の戸は外して「見せる収納」みたいにしていました。
それでも夏場の室内の湿度は90%を越えていましたね。いろんなものに次々とカビが生えていきました。靴、カバン、ベルト、手帳、、いろいろなものがダメになりました。引っ越してくる前は、髪がはねるとか、蒸し暑くて不快とか、その程度に考えていましたが全然甘かったです。

●虫(おもに蟻)
海街diaryの一場面に、風呂にカマドウマ(キリギリスみたいな虫)が出てくるシーンがありますが、山の暮らしなので当然のことながら虫はいました。でも家の隙間などを1つ1つ塞ぎ、家を一周するように虫除けの粉を撒いて対策していたので、大きめの虫はそんなに出ることはなかったです。ゲジゲジとかムカデとか、年に数回のレベル。

それよりも僕らが一番悩まされたのはヒメアリでした。普通の蟻よりもさらに小さい(近眼の僕などは少し目を放すと見えなくなるくらい)。それが春〜夏は毎日キッチンに大行列を作っていました。持ち帰らせて全滅させるタイプの薬剤も使いましたが無理でした。気持ち的にも、衛生的にも、乳児のいる環境の点でも、これは相当参りました。
シロアリも一度出ましたね。

これらは気密性のある新しい建物ならば酷くはなかったのかも知れません。僕らの借家が昔ながらの平屋だったので顕著でした。(そもそも風通しをよくするため、隙間を生かして作るものだそうです)

●坂と崖の町
三方を山に囲まれた自然要塞の鎌倉。そこに昭和30年代の造成ブーム以後あらゆるところで宅地開発が進みました。そんなわけで、山肌や崖、谷戸(谷)など、地形の高低差が激しい場所に家が立ち並んでいます。道からも階段を使って玄関まで上り下りをしないといけない家が普通ですし、足腰が鍛えられると思えばポジティブですが、高齢者にはきつい土地です。また、崖崩れの心配など不安に感じる人も多いかもしれません。

●すきま風と床冷え
これも昔ながらの日本家屋だったためですが、冬は本当に寒かったです。床板の下は土なので。最近の家であれば、基礎が「布基礎」と呼ばれる、土をコンクリで覆う方式が多く、さらに壁などには断熱材が入っているので随分違うでしょう。

鎌倉はそもそも東京より暖かいはずなので、そのつもりで入居してびっくりしました。そこそこの防寒で初日に寝たら寒さで身体の震えが止まりませんでした笑

●居酒屋や夜までやっているお店がない
もう慣れてしまって書き忘れてましたが、居酒屋がないですね。居酒屋に限らずお店はだいたい夕方で終わります。夜までやっているのは駅近くでは「侘助」さんくらいですね。
もっとも個人的に外ではほとんど飲まなくなったので(昔の僕からしたら嘘みたいですが)居酒屋がなくても気にはなりませんでした。それに飲みたいときはお隣・大船にたくさんのお店があります。

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◆どちらとも言えないこと
●物価について
入居する前が杉並区だったので、そもそも物価はそこまで安くなく、鎌倉に来てからも高いなと特段は思いませんでした。ただ前述のとおりスーパー自体がないので、大船や鎌倉まで出る面倒さはありましたが、その2つの駅はスーパー以外にもお店はたくさんあったので安いところで買えば東京よりもいくぶんは経済的かもしれません。

●普段使いの喫茶店や飲食店
北鎌倉の飲食店についてはブログで何度か紹介してきました。観光客に人気があるのは何と言っても「石かわ珈琲」さんと「ミンカ」さんですね。それ以外にも「スミヨシヤ」「大陸」「侘助」「Boon Bakery」「にちりん製パン」「香下庵茶屋」「花鈴」「儀平」「門」「りど」「光泉」「こまき」「松花堂」「やま本 きそば」などなど。他にも有名なお店がいくつもあります(タケル・クインディッチさん行ってみたかった!)

観光客メインで並ばないと入れないようなお店もありますが、北鎌倉はアジサイや紅葉、そして正月以外はそこまで人が多いわけではないので、わりと気軽に入れるお店も多かったです。

 

以上、非常にとりとめのない記事になってしまいましたが、こんなところで終わりにしたいと思います。 

移転先ブログはこちらになります。北鎌倉篇、ご愛読ありがとうございました!

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