日々の残像V〜北鎌倉篇〜

大森元気 web log vol.5 - since nov.2016

緑の洞門 (北鎌倉隧道)と通行止め問題

◆通行止めの「緑の洞門」(北鎌倉隧道)
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前記事にて「赤の洞門」を紹介しましたが、次は「緑の洞門」です。正式な名称は「北鎌倉隧道」(きたかまくらずいどう)。ホーム中程の臨時口より。奥に見えるフェンスが緑の洞門。前述のとおりこちらは現在通行止めになっています。

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 2015年4月、崩落の危険性から通行止めの措置が取られ、2016年8月実際に崩落が発生しました(厳密には崩落ではなく「剥落」だったそうですが)。怪我人などもなく、全崩壊などには至らなかったのですが、以来約4年、現在もなお通行止めとなっています。

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この写真を撮ったのは2017年秋ですが、そのときにはフェンス越しに内部とその向こう側の出口が見えました。下のスクショ画像の1枚目と同じ構図になりますね。

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【画像】google画像検索より

通行できた頃はこんなふうになっていたのですね。僕らが引っ越してきたときにはすでに通れない状態だったので、新鮮に感じます。



◆隧道含む尾根の“歴史的価値”
下のリンク先の中で紹介されている、日本考古学協会理事・馬淵和雄 著『鎌倉地図草紙』(歴史探訪社,2004)によると、トンネルを含む尾根は鎌倉時代の古地図にも描かれており、鎌倉を外部から守る“東の防塁”の役目をしていたのだそうです。(対する西の防塁が朝比奈峠の塁壁で、両者は鶴岡八幡宮を中心に左右対称になっているそうです)

また同時に、目と鼻の先にある八雲神社の祭事を行う土地の境であり、ひいては円覚寺の「結界」の意味もあったとか。

kitakamashiseki.blog.fc2.com【リンク先】「北鎌倉の洞門を守る会(北鎌倉史跡研究会)のブログ」
※リンク先に画像もあり

もちろん諸説あるそうで、そのうちの一説のようです。

また、そもそも尾根は横須賀線を通すためにすでに一部は切り崩されており(線路を超えて県道のほうまで延びていたそうです)、それを残す意味があるのかどうか?と意見も分かれてきそうです。

こちらの方のブログでは保存価値は特にないと私見が述べられています。haisentn.blog41.fc2.com

対して、こちらは崖面の穴が中世当時の名残?!という考察もあり。

kitakamayu.exblog.jp【リンク先】「北鎌倉湧水ネットワーク」



◆“開削”案と緊急車両通行について
歴史的遺産かどうかの専門的な議論はさておき、個人的には北鎌倉らしい景観だと思うので保存してもらいたいなあという気持ちが強いです。

ですが一方で、緊急車両の通行や、災害時のことを考えると開削すべきという意見があるのもうなづけます。

ただ、気になるページも見つけました。下のリンクは、TBS「噂の東京マガジン」で取り上げられたときのことをまとめたページになりますが↓ 

www.google.co.jp

開削したとしても、隧道以外の道の幅が狭いので(1.4m~2m)そもそも緊急車両が入っていけないというのです。

個人的に気になって救急車・消防車のことを鎌倉市消防本部に問い合わせたことがあるのですが、職員の方は『トンネルが開削されてもその先わずかしか進めないので、あまり意味はないです』みたいなことを言っていました。「入れてもUターンできるかも重要です』とも。
また『消火栓自体もトンネルより鎌倉寄りにあるので、トンネルより大船側で火事があっても、そこから走ってホースを引くことになり、トンネルがある・なしは関係ありません』とのことでした(リンク先より)

鎌倉市は岩塊・トンネルを切り崩せば4m道路が誕生すると思わせるような工事完成のイメージ図を作成したが、4m道路誕生はトンネルを切り崩した部分とそのちょっと先のごく一部。それから先は2mと1.5m道路が続く。
4m道路を造るには道路沿いの住宅のセットバックが必要だ。住民にセットバックしてもらうことは極めて難しい。鎌倉市は幻想を振りまいているだけで、情報操作のそしりを免れないだろう。(リンク先より)

というような指摘。真相はどうなのでしょうか。。

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こちらは2018年4月。尾根の上の竹などが刈られました。



◆権利の問題で工事は手付かずのまま
「歴史的価値」か「防災」かという議論自体難しい課題ですが、さらに問題をややこしくしているのは隧道周辺の「権利」の問題だそうで、TBS「噂の東京マガジン」でも3度にわたり取り上げられています。

kitakamayu.exblog.jp↑番組の内容を紹介したブログ(北鎌倉湧水ネットワーク)

鎌倉市と地権者の間で揉めに揉めており、これまでの約4年の間に市長のスタンスや発言も変わってきており、一筋縄ではいかない感じがありありと。。

さらに、「地権者Bが意識的に排除されていた?」という情報も?!
blog.livedoor.jp 
その他にも検索すればこの問題はたくさんの情報が出てきます。それだけ関心が高いとも言えるし、何よりも日常的に利用していた住民には切実なる問題です。

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いろんな意見があり、いろんな事情があるのでしょうが、4年近く何も進まずに通行止めは続いていることを考えると、やはりそろそろどうにかならないのかなあと思ってしまいます。まあお金と権利が絡み合っているので簡単にいかないこともわかってはいつつ、、、

個人的にはやはり 前記事の「赤の洞門」のように、景観を守りながら補強は出来るはずで、その上での早い開通を切に希望しています。

www.kanaloco.jp

赤の洞門・緑の洞門を紹介してきましたが、もう1つ徒歩圏内に青の洞門もあります。近くには雰囲気満点の長窪の切通しや、絶景の夕陽&富士山スポットも。次の記事にて。