日々の残像V〜北鎌倉篇〜

大森元気 web log vol.5 - since nov.2016

大感謝祭をふりかえる~宵の部編~

すでに開催から10日も経ってしまいましたが、後編“宵の部”ふり返りです。

前記事×2はこちらから読めます↓
大感謝祭をふりかえる~昼の部篇~
大感謝祭までのはなし
 (リハ写真&前回30歳祭の写真初公開)

◆水野晋太郎とセンチメートルズ 

f:id:kitakamadays:20180426203241j:plainphoto by 並木万実(以下n)

宵の部のトップは水野晋太郎(ロッキングノールズ/ex.ワイワイズ)。晋太郎くんとは同世代ですがパパ先輩として相談乗ってもらったり親バカ談義したりの仲です。

そんな彼は今回のために結成したスペシャルバンドで出演してくれました。梨っちゃん(岡田梨沙)とは昨年のワイワイズ再結成も記憶に新しいところ。そしてベースは僭越ながら僕が弾かせてもらいました。

音出してみてから気づいたのですが、長坂バンドや花と路地でベース弾いていたのとはわけが違う!スリーピースというのは楽器が3つしかないわけで。もちろん大所帯のときも適当に弾いているわけではないけれどウェイトが全然違いますよ(苦笑)いやあーハードル高かったですね。。

f:id:kitakamadays:20180426203321j:plainphoto by chaco(以下c)

ラスト前まではなんとかいけたような気もしますが、最後はリズムがサンバで、しかも途中で倍速ウォーキングベースありの超難関。完全にキャパを超えておりました...いやー良い経験になりました。修行していつかまたチャンスあったらと思っています!晋太郎くん参加させてくれてありがとう!

◆倉谷和宏+磯野寛+萩原拓

f:id:kitakamadays:20180426203425j:plain(c)

2番目はクラゴンこと倉谷和宏バンドです。ほぼ“旭荘201”ですね。クラゴンにはこれまでタイバンはもちろん、“南風”や“花と路地”に参加してもらったり、彼がやっていたバー「トリアエズ」に行けばよくしてもらったり、あとお金ないときよくお酒おごってもらったりしましたねぇ。尊敬するアニキです。

拓さんも“チョコレートパフェ”や“カーブ”で数え切れないほどタイバンし、“南風”や“偏西風”や“残像カフェ×松木俊郎バンド”でもお世話になりました。久しぶりの共演で嬉しかった!

カツヲさんは...だいたい酔ってるし酔ってないときはあんまり会話したことないですが(笑)絶妙なタイミングで褒めてくれたり励ましてくれたりするんですね。ちゃんとお礼言ったことないですが(笑)感謝しています。

f:id:kitakamadays:20180426203520j:plain(n)

クラゴンのリクエストで僕も3曲ほどギターで参加させてもらいました。本番ではカツヲさんと予定になかったギターバトルをやった気がします。カツヲさんのギターってどんどん渋みと存在感を増していってるような気がします。どれだけ練習しても敵わないなあ、という種類のギタリストです。

f:id:kitakamadays:20180426203601j:plain(c)

そしてさらに!サプライズゲストとして拓ちゃんJr.君が呼び込まれ。彼は両親の影響でビートルズをかなりマニアックに研究したり、ドラムを叩いたり、作曲したりしているそうですよ。今回も堂々と良いグルーヴを出していました!将来が楽しみですねぇ。いやー楽しかった!

f:id:kitakamadays:20180426203540j:plain(n)

◆棚木竜介と図書館 

10年ほど前iro(アイロ)というバンドで活動していた...という前置きはもう不要ですかね、棚木竜介くんが数年前からスタートさせ、着実な評価と話題を集めているのが“棚木竜介と図書館”です。シングル2作品の発表を経て、最近遂にフルアルバムを完成させました。まだトレイラーでしか聴けていないので聴くのがとても楽しみです。  

f:id:kitakamadays:20180426203828j:plain(n)

「フォーキーなプログレ」というのが僕の勝手な解釈で、一見うららかな歌詞世界にも唐突に鋭いフレーズが入ってきたりして、それが本当にかっこよいのです。もっともこれは僕の個人的な印象で、本人達はもっと違うものを見ているのかも知れませんが。たとえば日本語版ビーチボーイズだとか。

f:id:kitakamadays:20180426203848j:plain(c)

彼らのライブを去年ちょっと久しぶりに見て(メンバー変わって初だったのかな?)そのときに「何だか凄く洋楽のライブっぽい」と思ったんですね。ザックリな表現で申し訳ないんですが...。アレンジや楽曲のせいもあるのだろうけど、佇まいだとか空気感?それがとてもクールに見えたのです。今回も本当に魅力的なステージでした。めちゃくちゃ大きなステージとか、野外とか、そういうところで観てみたいなあ。

◆大森元気ソロ

f:id:kitakamadays:20180426203926j:plain(n)

昼の部オープニングに続きまして、再び一人で。「拝啓、君は元気ですか?」は、切磋琢磨し合った仲間が東京を離れ、今は新しい場所で暮らしている、そんな友人達に手紙を書くように書いた歌。

今やそんな僕も東京の生活から離れ、北鎌倉の山あいに住んでいます。この歌を書いた頃には住む場所も、音楽への向き合い方も、仕事も、いろんなことに迷い、探し続けていました。そんな自分からの、タイムカプセルから見つかった手紙のようにも思えます。

♪「そこから見たら僕は
 どう映っているのでしょう?
 歌い続けたいと思う
 でもいつまでもふらついていられない」

イベントタイトルに「不惑の(!?)」と付けまして、まだ「?」が付いてるんかい!というのが突っ込みどころなのですが、たくさんのことに悩み、選び、進み、見つけてきました。それでもまた次の迷いが生まれるのが人生ですよね。みんなはどうなのかな。とは言え30代の頃とは違ってあんまりくよくよする気分でもないのですが、山を越えてまた次の山みたいなところはありますね。

◆スダッチ&SPコネクション

f:id:kitakamadays:20180426203946j:plain(c)

スダッチこと須田さんには前回(30歳記念)も出てもらったし、その後もライブを観に行ったり、いろいろと相談に乗ってもらったりお世話になりました。今は無き当時の近所の喫茶店のカレーも一緒に食べたなぁ(僕が一番すきなカレーでした)

今回は、ホッシー氏、なるちゃん氏、それから昔よく関西で対バンしていたドラマーKISHI-YAN(再会嬉しかった!)を配した編成。“ソウルパウダードレッシング!”やそのメンバーを原型とした頃の“ソウルパウダーコネクション!”でのライブは何度も観てきましたが、この編成は初見でした。卓越した技術、それをひけらかさないサジ加減で、最高にグルーヴしていました。スダッチのライブはいつも立って踊りながら観たくなりますね。飲みながら、歌いながら。

◆大森元気with Noriyuki Sugata Sessions

f:id:kitakamadays:20180502085131j:plainphoto by ユキさん

さていよいよ本編トリは大森元気バンド。2種類のバンドのうちスガタさんドラムバージョンです。今回初参加メンバーとして、鍵盤&ギター&コーラスにナカジこと中嶋佑樹(SPIRO、棚木竜介と図書館)と、コーラスにうちだあやこ(dodo)、さらに「涙が出ちゃうよ」では梨っちゃんがコーラス&シェイカーで参加(この曲、もともと梨っちゃんとやってた曲だったんですよね)、さらにラストではバイオリンに山本草助という布陣。豪華すぎました!

f:id:kitakamadays:20180426204823p:plainphoto by ひろいもの

4曲中、「涙が出ちゃうよ」以外は新曲オンパレードでした。 「ぼくの愛する暮らし」は今年元旦に公開した、僕のこれからのテーマソングとも言うべき歌。初めてバンドで歌えて、胸が熱くなりました。

この編成では初めて(通算でも2回目)の「メランコリー」のカラフルさ、「涙が出ちゃうよ」のグルーヴと楽しさ!そしてラスト「旅するように歌うのだ」の完璧に仕上げた3声コーラスと神がかってたバイオリン。実は泣くのをこらえながら歌っていました。

f:id:kitakamadays:20180502085221j:plain(c)

たった4曲とはいえ、かなり盛り盛りのアレンジをしていたのです。それにもかかわらず、リハは1回。当日サウンドチェックもなし。そうすけ君に至っては本番で初めて合わせたのですが、全員完璧で、気持ちもこもっていて、本当に感激したのでした。

準備篇に書いたように、開催するかどうかも迷って、やると決めたらやっぱりいろいろと大変で、自分で自分の首をしめながら、参加バンドも増え、寝る間も惜しんで制作もして、当日は寝てなくてぶっ倒れないかちょっと心配だったりもして、それらの苦労が「旅する~」を歌っているときにすべて報われた気がしました。

f:id:kitakamadays:20180501213438j:plain

...と、感無量になっている隙をついて、サプライズケーキの登場。そりゃあ、あるんじゃないかとは一旦は思っていましたが、感激してる最中で、完全に忘れていたタイミングでした。やられたー笑 しかも“ルナ・コムロ”氏(ケーキアーティスト/イラストレーター/アーティストディレクター)お手製のキャラクターケーキです。これは感動するじゃないか!


◆Special Session&ダブルアンコール

最後はアンコールがわりに2曲、そうすけベース&豚汁ドラムという、花と路地時代のリズム隊で演奏しました。一部ですが頂き物の動画↓

鍵盤にみんみん氏(2曲とも)、2曲目はうちだあやこ&クラゴンのVo/Cho、晋太郎君ギター、ステージ&客席はシェイカー大会で、大盛り上がりのうちに大団円を迎えました。

♪ “間違いだらけです
 今日までの僕の道
 でも悔やんでも消えない傷ならば
 全部背負(しょ)って歩きます”

♪ “さあ忘れ物はそのままで
 あの日を振り切れば
 花咲く路地で出会います
 素敵な明日に”

ベスト盤のライナーにも書きましたが、楽しげなメロディーに乗せて、重めのことを言った気がしますね。花と路地休止後はずっと歌っていなかったけれど、今あらためて歌ってみると響くものがあります。とんちゃん+そうすけのコンビネーションで久しぶりに歌うのもぐっと来ました。

f:id:kitakamadays:20180502085402j:plain(c)

さて。ここで予定曲はすべて終了。と思ったら、みんなからアンコールを頂いてしまいまして一人で歌うことに。普通は用意しておくものですがまったく考えてなくて、リクエストをもらって「日曜日月曜日」を。

長いし、バラードだし、やるのは少し躊躇しましたが、30代の悩みと諦め、最終的にそこから歩き出す(...そんな歌ばかりですね本当に!)この歌の歌詞は、あとから聞いたらいろんな人の涙腺を緩ませたようでした。

◆終演

f:id:kitakamadays:20180427080609j:plain

というわけで、長丁場(このレポも長くなりましたが...)観てくださった皆様、お疲れ様でした。 

本当は最後にちゃんと挨拶をすればよかったのですが、演奏に夢中だったりサプライズにたじろいだりで、あんまり実のあることは話せませんでしたね。まあ、歌で返せたような気もするけれど。

とにもかくにも、何度も書いているのでしつこいですが、探し続けた30代でした。恵まれた環境で好き放題やれた20代とは何もかもが違いました。いろんな人が離れて行きました。もともと大したやつでもなかったし、いろいろと迷惑をかけ、音楽メインで食えなくて、かといって仕事もできず、自分の駄目さに気づくうちに人としての存在意義や自信や笑顔さえも失っていった時期もありました。

そんななかで、助けてくれたミュージシャン仲間と、気にしてくれたファンの皆さん、そして出演依頼をくれる関係者さん達にただただ感謝の気持ちでいっぱいです。ありがちなことしか言えなくてすみません。そしてもちろん、支えてくれた妻や遠くから見守ってくれた両親にもありがとうとごめんなさいの気持ちでいっぱいです。

30歳記念祭のときは「みんな祝いに来て!」みたいな冗談も言ったりしていたけど、今回「大感謝祭」と名づけたのはそういうことでした。

自己嫌悪しながらも結局自分大好きってところがあって、それは一生変わらないのかも知れないど、昔はそれにすら気づいていなかったし、こうやってみんなに助けられて今歌える自分がいるから、もう今は自己顕示欲よりも本当みんなにお礼が言いたかった、それだけだなぁ。

音楽をこれからもまたやっていく以上、アピールやハッタリは必要なのかも知れないけど、この夜に関してはもうそんな気持ちでいっぱいでした。

f:id:kitakamadays:20180427080644p:plain

f:id:kitakamadays:20180427080720p:plain

f:id:kitakamadays:20180427080758p:plain

打ち上げでみんなどんどん酔っ払って、最終的に「今夜はブギーバック」に合わせてフリースタイルでラップしながら踊りまくってた光景が印象的です(動画ありますがテンション高すぎるので自粛します笑) お客さんはもちろんだけど、出演者にも楽しんで欲しくて。だからどんどん盛り上がっていって、最終的にこんな感じになって本当に嬉しかったなあ。(このあとこの輪の中に引っ張りこまれて一言もラップできなかった自分は最高にかっこ悪かったのですが苦笑)

40代はもっともっと楽しく生きて行きたいなあ。娘と妻に不幸な思いをさせたくないし、でも音楽も今まで以上にやっていきたいのです。がむしゃらにやっていた20代や、もがいていた30代や、そのどちらとも違う形で、生活と音楽とを両立させていきたいなあと思っています。

怒涛のイベントを終えてみて、燃え尽きるどころか情熱がどんどん湧いてきています。恐らく忘れかけていた音楽家のプライドと楽しさを思い出したのだと思うし、みんなに褒めてもらえて自信を取り戻したところもちょっとはあるかな、そしてバンドの手ごたえがすごくあったから、また間があくのはとにかく勿体無いという気持ちです。形に残したいし、ライブもやりたくて仕方がありません。

f:id:kitakamadays:20180501213525j:plainチャコさん(がま口作家)がま口ありがとう!今回の写真もたくさん感謝!

長くなりましたが本当にありがとうございました。長文のわりには、いつも書いているようなことの重複になってしまいましたが、、、

ライブ先行発売となった30代ベスト盤『メランコリー』もよろしくお願いします。流通はまだですが、通販まもなく開始します!

【ライブ情報】
●5/4(金祝)代官山晴れたら空に豆まいて あがた森魚サポートのみ
●5/5(土) 宇都宮悠日 あがた森魚サポート+フロントアクト
●5/6(日)足利JAZZオーネット ※あがた森魚サポートのみ