日々の残像V〜北鎌倉篇〜

大森元気 web log vol.5 - since nov.2016

八月の狂想曲〜後篇〜

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前篇では「海岸列車」という歌とそのエピソードについて書きました。8/6のライブではその曲のほかに残像時代の曲や、夏ならではのレア曲、そして弾き語りのときにはやることの多い「拝啓、君は元気ですか?」などを歌いました。

この曲は、東京で切磋琢磨し合っていた友人が田舎に引っ越してしまい、その旧友に向けて手紙を書く、という設定で書いた歌。

モデルは...いるようないないような、というよりもたくさんいるんです。家庭を持ったり、故郷へ戻ったり、原発から離れたり。いろんな人が東京を去っていきました。東京で歌い続けいつも見送っていた自分が、近いとは言え東京を離れてこの歌を歌うと何だか変な感じがして、それはそれで面白いなあと。


大森元気「拝啓、君は元気ですか?」宇都宮・悠日カフェ
今回のライブではないですがこの曲の弾き語りverです↑

やはり同世代には感じてもらえるものが多かったようで、ライブを終えたそばから「ぐっときた」とそうすけ君(春生まれ子供たち/春風堂/HAPPLE)達が声をかけてくれました。

主催の“たけヒーロー”こと藤田君や、客席にいた春風堂のマッケン、宇宙遊泳のケンゾウル、いなかやろうのやんば君など...同世代であり、この14〜5年たびたび競演したり一緒にバンドをやって来たみんな。彼らに久しぶりに観てもらえたことは本当に嬉しかったし、そんな彼らから口々に嬉しい言葉をもらえて舞い上がってしまったなぁ。

ライブ直後の興奮でちょっと変なテンションになっていたので、「お互い歳とったってことだよ」なんて笑いとばすように誤魔化してしまったけれど。


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リハーサル風景

6月あたりから僕のモードはみずみずしい曲を欲していて、しばらくは渋いものや理屈っぽいのはやめようと思っていました。そんななかで今回弾き語りをやるにあたって、どうしよう、やる曲がないかも...と選曲に悩みました。当初はガラリと変えたかったのだけど、結局いつもやる歌を半分以上入れることにしました。

ブログにも書きましたが6月のライブ後に今やりたいことがけっこう明確に見えて。それは曲調やコード感もそうだし、アレンジやアンサンブル、サウンドという要素も多くて。

けれども弾き語りのときには1人。だからアンサンブルやらアレンジやら言っていられない。さてそのなかで何がしたい?何ができる?となったときに、やはり歌詞だったり、大森元気という“人”だったり、そういうことになっていくなぁと。

f:id:kitakamadays:20170831194648j:plainたけヒーローのソロコーナーからライブは始まりました。セッティング中です。

そういうわけで、弾き語りでは特に新しい方向性だとかを意識するのはやめて、自分の持ち味を出していこうかなと思ったのでした。それに、まあこれはバンドでもそうだと思うのだけど、結局「その人に会いにくる」ってことなんだよね。

去年くらいから弾き語りのライブをすると「大森くんの部屋に来たみたい」だとか「ラジオみたい」「ブログを読んでるみたい」なんて言われることが多くなったのだけど、弾き語りはそれで正解だと、今のところは思っています。

f:id:kitakamadays:20170831195058j:plain最後にみんなでセッションしました。たけヒーローからエレキを手渡され...笑 

f:id:kitakamadays:20170831195502j:plainみんなでムッシュ御大の「どうにかなるさ」バンドバージョンです。

弾き語り、それこそ14年前に初めてこのマルディグラで歌った日から本当にたくさんやってきて、ちょっと飽きたなあと。いや、やるのは好きなんだけど、果たして意味あるのかな、需要あるのかなあと。そう思うことが多くなってきた近年でした。

でも、今回歌いに行って手応えがあったから、また少しだけまたやれそうな気もします。“友人”という言葉では収まらないくらいたくさんの時を乗り越えて来た戦友達に囲まれて、そんなふうに思えた夜でした。


1.夏祭り
2.夏の予感
3.下北沢
4.拝啓、君は元気ですか?
5.海岸列車
6.4月のことば
7.日なたにて
8.旅するように歌うのだ


それにしてもたけヒーロー君の新バンド「春生まれの子供たち」、めちゃくちゃよかったな。フレッシュで、バンド感がすごくあって(全員コーラスきれいだった!)、繊細なのにパワフルで、なんといっても曲がよくて、ギター少年的なところもあったし、藤田くんの人柄もきちんと発揮されていて、要するに、最高でした!

僕なんかはさっき書いたように渋さとか理屈っぽさ云々言ってくすぶっているのだけど、そんなのを軽々と飛び越えるようなキラッキラした、けれども凄みも傷跡もちゃんとある、そんなバンドでした。

15年前、同じシーンでお互いやってて、共通点もたくさんあって、そんな彼がこうやって生き生きと輝いているのを目の当たりにして、本当に勇気をもらえたし、自分もまだまだ頑張れると、そう思った夜でした。またやりたいね、絡んでいきたいねと、約束して帰路についたのでした。

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一部ですが、アンコールセッションの動画いただきました↑